換気の目的
建物内の空気を外気と入れ換えること 室内で発生した汚染物質により悪化した空気を排出し新鮮な外気を導入して汚れた室内空気を薄める こと。これにより、居住者は快適で健康的な空気の質を維持することができます。
汚染物質とは
二酸化炭素 (CO2) | 人の呼吸や炊事、一部燃焼器具など |
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ハウスダスト(チリ、ホコリ、ダニ、カビなど) | 生活スタイル |
生活臭、タバコの煙 | 生活スタイル |
一酸化炭素、ダイオキシン、アンモニア | 調理、タバコ、トイレ、薪ストーブ |
水蒸気、オイルミスト | 人の呼吸、炊事、入浴、植物など |
化学物質 | 内装建材、カーテン、家具、防虫剤、芳香剤に |
ホルムアルデヒド | 合板などの接着剤,防腐剤 |
トルエン、キシレン、ベンゼン、スチレンなど | 塗料、仕上材 |
パラジクロベンゼン | 防虫剤、一部芳香剤 |
国内の法制度、基準
義務化されたシックハウス対策
- ・ホルムアルデヒド使用制限
- ・換気設備の義務化⇒居室の気積の0.5回/h
- ・クロルピリホス(防蟻材)の禁止
その他の物質については、国が定めた濃度基準に対する努力目標に留まっています。
※世界保険機関(WHO)の基準 安全な空気質=CO2濃度1.000ppm以下(人の致死量70.000ppm)(総空気に対してCO2濃度7%)
居室の定義 = 居間、寝室、食堂、子供室、台所など
我が国の法制度では、居室とそれに付随する換気経路の総容積の1時間当り0.5回の換気が義務化されていますが、汚染物質は居室以外で多く発生していることがわかります。
欧米では、全体の換気(全体換気)が行われており理想的です。
換気経路
新鮮な外気は居室から導入して汚染物質が多く発生する所(汚染帯)から排出されます。
適切な換気量の確保
換気経路が想定されてはいますが、果たして実際の空気の流れはどうでしょうか?
穴の開いたストローでは、ドリンクを飲むために、非常に大きな吸込み力が必要になります。
これを住宅に例えると、すき間だらけの住宅になります。
気密性の悪い住宅では外気を吸い込むこともできないし排気することもできません。
これでは計画的な換気は難しくなり、大きな設備と維持費にコストがかかり過ぎます。
結果的に中途半端な設備で終わり、本来の目的である健康的な空気の質の確保は不可能になってしまいます。
※換気は、建物内外に圧力差がなければ、吸い込むことも吐き出すこともできません。
- ア)圧力差は建物の気密性能を高めない限り付けられません。
- イ)数値で表しますと、国内気密性能基準値のすき間相当面積当り1㎠/㎡以下
- ウ)排気口には外風圧力がかかりますので、80㎥/h以上の排気量と低圧損型排気フードが必須となります。
- エ)換気扇の能力は、圧力損失を計算してそれ以上の製品を選定します。
換気の手法
第1種換気では、給排気をセントラル式にして排気熱を回収する熱交換型が一般的。
特徴
- ・冬季間の暖房エネルギー削減効果がある。
- ・各居室の壁に給気口が必要ないため、外の騒音や排気ガス等の影響を受けにくい。
- ・第2種換気、第3種換気と比べて設備費用が高い。
- ・ダクト配管が給排気と2系統となるので配管経路の計画が重要。
第2種換気は住宅では一般的に行われていません。
第3種換気が一般住宅の大半を占めています。
特徴
- ・設備コストが比較的安い。
- ・天井裏等のダクト配管が短いので建築的な納まりが比較的容易。
- ・給気口は壁から直接外気を導入するので、暖房器具の位置や暖房手法によっては寒さを感じてしまうので注意が必要。
まとめ
通風と換気が基本的に異なることを認識していただければと思います。 窓の開閉により空気の入れ替えは、一時的なもので、換気は24時間365日常時機能させる設備です。 建物の換気は、換気扇だけの独立した性能やシステム計画だけでは正しく機能させることができません。 より安全な空気質を確保しながら、換気による熱損失を最小限に抑え快適な温熱環境を実現する。 そのためには、開口部を含めた建物の断熱気密性能や暖房計画などをトータルにデザインすることが 重要になります。 換気設備が良好な状態に機能するように、保守や管理体制にも考慮することも大切です。